(冬にできる畑仕事)寒起こしを実践してみた -その効果を考える-

名称未設定のアートワーク Uncategorized

寒起こしとは


家庭菜園ランキング

冬にはあまり植えられる野菜というのはなく、今できることとしては春に向けた準備の「寒ざらし」「寒起こし」とか「天地返し」と呼ばれる作業があるそうで、最近チャレンジした。この作業は畑の土を寒さにさらすものなので、今こそピッタリのようだった。まだやり残しはあるけれど今回は寒起こし自体がどのようなものなのかということについて、学んだこと、経験中のことを記しておこうと思う。


にほんブログ村

寒起こしのタイミングと目当て

寒起こしは冬の最も寒いうちがチャンス。借りている市民農園は2月締めの3月更新という契約形態になっているため、もし年度初めから契約をしていたとしたらこの作業には間に合わなかったことになる。まだあまり育てられる野菜がないのは面白味はあまりないかもしれないけれど、家庭菜園1年生で土づくりからじっくり始めることができるのはある意味ラッキーだったかもしれない。

さて、この寒起こしでなぜ土を寒さにさらす必要があるのか?「土なんていつも外で冷えてるじゃないかと」最初は思った。この方法で土を冷やす目的いくつかあるようだ。

病原菌やウィルスの退治について

土の中には野菜の生育にとって有害なウィルスや病原菌が増えることがあり、一定の温度以下に冷やすことでこれを死滅させることが可能だそうだ。具体的にどんな菌でどんなウィルスが対象なのか、時間がある時に調べてみたいけど、詳しそうな人たちがみんなそう言っているのでとりあえずそういうことだと理解して一旦進めている。

害虫やその卵の駆除の効果

実際に土を掘り起こしてみるとオオハサミムシが出てきた。カタツムリが冬眠しているのも出てきたりした。他にもなんかのサナギが出てきた。調べてみるとこのサナギはおそらくヨトウムシという害虫のものだったようだ。こんな風に外で見られなくなったと思った生き物たちは土の中に逃げて寒さに耐えているようだった。オオハサミムシは益虫なのでそのまま来春の活躍を期待して戻しておいた。こんな風に土を掘り返すと、今回のカタツムリやヨトウムシのように野菜にとって悪い働きをするものを直接見つけることもできた。また、害虫の卵も土の深い部分い産み付けられているそうで、その部分の土を掘り起こして寒さにさらすことで卵や幼虫を死滅させることができるということだった。凍って溶けてを繰り返すこの温度の不安定さもまた卵にはダメージを与えそうだ。この技は畑をやる前から使っていたものだ!子供達が持ち帰ってきたどんぐりに潜んでいるかもしれない害虫を退治しておくとき。どんぐりも冷凍庫に入れて殺虫する。これで工作に使ったどんぐりから虫が這い出してくるのを防止できるということで我が家では馴染みの技法だ。それにしてもなんで子供はどんぐりを持ち帰りたがるのか。

雑草の駆除

掘り返すので虫を見つけるのと同様に雑草の葉や根を見つけることができた。これもシーズンが始まったときに雑草が増えにくくなるだろうというのがわかる。若い芽を摘んでおくということより更に本気を出した感じだ。寒さで種をダメにする効果もあるとかないとか?この辺りはあまり主張している人が少ない気がするのでもうちょっと調べてみようと思う。

団粒化の促進

畑の野菜にとって、いい土というのは概ねさらさらふかふかしていて、そして適度にもちもちしているものらしい。野菜ごとに違いはあるものの、水捌けが適度によく、保水性があるちょうどいいものを目指すのは共通しているようだ。あとは育てる野菜ごとに微調整していく感じが良さそうだった。それが団粒構造を持つ土ということだ。団粒化させることを目指す。

名称未設定のアートワーク
土の団粒構造のイメージをProcreateで描いてみた

だんりゅうか?」初めて聞いた言葉だったけど、家庭菜園をやっている人には馴染みの言葉らしい。ごろごろモチモチとまとまった土の状態を団粒構造と呼ぶらしく、反対の状態が「単粒構造」と言うらしい。

団粒とは粘土やさまざまなサイズの砂がある程度のまとまりに固まった状態だ。

さて、団粒構造なら土が団子のようにまとまっている。団子と団子が互いにぶつかり合って重なれば、丸っこいもの同士ピッタリ合うことはなく隙間ができる。この適度な隙間があることによって空気が通り、植物にとっては根を張りやすくなるわけだ。またこの隙間に水を蓄えることができるので、水もちも良くなるということだ。土の中も酸素不足になると、植物の根は窒息して育たなくなるそうだ。

土はどうすると団粒にするのか。これに関しては掘り返すだけではダメそうだ。植物の根の成長で押し除けられた土がぎゅっとまとめられたり、乾燥したり、あるいは微生物の働きで有機質の”のり”が付着するかが鍵になるそうだ。凍って溶けることを繰り返すことで団粒化すると言っている人も多くいるようだったがいまいちメカニズムが理解できずにいる。これもそういうものらしいととりあえずは理解しておこう。

さて、微生物が出す有機質ののりでちょうどいいネチョネチョにするには、その微生物に働いてもらう必要がある。それには彼らの栄養源が必要になる。そのため寒起こしをする際には米ぬかをうっすら全体に蒔いてやると良いそうだ。今回は米ぬかを手に入れられていないので、凍って溶けての繰り返し頼みにはなっている。なんでも全部できればいいけど、片手間家庭菜園はそうはいかない。

空気を取り入れる

土に空気が入っていないといけないというのは考えてみれば当たり前かもしれないけれど、あんまり考えたことがなかったので初心者としてはちょっと意外だった。その辺の土に生えてる草木はアスファルトの下でも根を伸ばすけど、よほど掘り進める力が強いんだろうか。うちの畑の区画はあまりふかふかなコンディションという感じではなかった。掘り返して酸素を取り入れる必要がありそうだった。

寒起こしのやり方

寒起こしはスコップで掘り起こした土を隣の列にどけるが、なるべく掘り出した土の塊はそのままの形で置いておくとよいそうだ。土の塊にびっしりと霜が降りたこの写真を見てみるとよくわかると思う。塊のままなら下にも冷たい空気が入り込むことも期待できそうだ。全方向から冷える。それにせっかく掘った土を崩してしまうと広がる。なるべく寒さに当てたいのに広がったその土が、下の土のカバーになってしまい、保温効果が出てしまう。掘り出した土を限られた面積の中で冷やし乾燥させるには、ダマにしたままにしておくのが表面積を増やすこともできてよいのだ。


ちなみにホームセンターで比較して買ったスコップがこの金象のシャベル。一般的なこの形のスコップだが、妻のリクエストに応えて軽いものとなっている。おかげで扱いは楽。

寒起こしをやってみて

掘り続ける仕事はまあまあ大変だったけど、思えば昔陸上部で走り幅跳びの練習の時に砂場を掘り返したものだった。その時のことを思い出しながら、およそ5m×5mくらいの広さだろうか。30分くらいでなんとかなった。

さて肥料はどうしていけばいいんだろう、いい土って何だろう、ていうかそもそも土っていうのは一体何なんだろうとかそんなことを考えるようになった。

ちょうど「そもそも土とは」というレベルのことから肥料について、その使い方やポイント等とても丁寧に解説されている本に農学博士の後藤逸男さんという「いちばんよくわかる土と肥料入門」というものを見つけた。とても参考になったので気になった人は読んでみると良いと思う。わかりやすいイラストもふんだんに入っていて一気に読めた。土について疑問に思ったらこの本を読み返して、より一層慣れ親しんでいきたい。



タイトルとURLをコピーしました