平和で可愛い子供らしさ満点、おともだちとの優しい世界が描かれたとってもいい絵本に出会った。
最近我が家の地域ではしょっちゅう雪が降っていた。そんな雪の景色にイメージを重ねられるいい絵本はないかと探してみつけた「ゆきのひのおくりもの」
小さな子にもわかりやすいだろうリズムのあるそのお話の作者は1898年生まれで、お話もとても古いものらしかった。
食べ物をなかなか見つけられない雪の中、こうさぎが運良くにんじんを2本みつける。
1本食べておなかがいっぱいになり、残りの一本はお友達のこうまにあげようと出かけていくが…
可愛らしい善意のリレーのお話だ。
お友達ができてきた幼稚園児にぴったりの本ではないだろうか
年少の頃から割と口の達者だった娘は幼稚園の頃、年少の5月〜6月頃から徐々に友達作りができてった。先生が子供達の様子をよく見ていて、うまく引き合わせてくれたのを覚えている。一方で弟の方は年少の時は一年間ほぼクラスメートの名前を覚えることなく過ぎていったようだった。同じ家の兄弟でも、その子ごとにこんなに違いがあるものかと少し驚いたのと同時に、個性というものの面白さを感じたものだった。
娘の方はお友達関係をとても深く強く大事にするタイプの子だ。仲間同士、友達同士で優しく愛し合う平和な話が大好きだ。
一方で弟も年中になってから次第に友達が増えたようで、家で幼稚園であったことを話してくれる中で、お気に入りの友達の名前が出てくるようになってきた。
彼はおもしろおかしく少しパターンのあるような話を気に入るところがあるのかなと思う。
幼稚園ではねずみくんシリーズの本をいつも借りてくるし、寝かしつけの時の本読みも同じ本を持ってくることが多かったりする。
そんな二人にぴったりの話だった。
食べ物をなかなか見つけられない雪の中、こうさぎが運良くにんじんを2本みつける。
1本食べておなかがいっぱいになったので、残りの一本はお友達のこうまにあげようと出かけていくが、こうまは留守。こうさぎはにんじんを置いて帰る。
そのころこうまも外でたまたま”かぶ”を見つけてお腹を満たし家に帰ってきた。家に置いてあったにんじんを見て、それを持ってきてくれたのがきっとこうさぎだろうと足跡から察する。
ぐるぐる回る善意のバトン
こうまは『きっとひつじはお腹を空かせて困っているだろう』とそのにんじんを持っていき…と、つながっていくぐるぐる話。
動物好きの我が子達にはとにかくこの動物達の絵のなんとも可愛いところが気に入ってもらえたし、どのページも同じリズムの文章で展開していく様が愉快で、息子はそれを楽しんでいるようだった。また、描かれている善意のリレーについにこにこしてしまう。
にんじんの行方とオチ、ところどころ『あれれー?(笑)』とみんなで笑い合って読める最高に可愛らしい話で、お友達ができてきた幼稚園児なんかにはぴったりなんじゃないかと感じている。みんなにお勧めできる素晴らしい絵本!
絵本について
作者:ポール・フランソワ 絵:ゲルダ・ミューラー 訳:ふしみ みさを 出版社:パロル舎(鈴木出版にて同作が販売されているようだった)
このお話自体は中国に伝わっている民話をもとにしているらしく、それを1931年にフランスでこのようにして絵本にして世に出たというこの作品が、この日本でも読まれているなんて。子供に向けたメッセージというのは場所や時代を超えて共通するものなのだなと感動している。